Classici giapponesi con furigana
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はちのき
鉢の木
山本 周五郎
Leggi 鉢の木 (はちのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.534 caratteri · 28 schermate
紋服が揃えてある、そういうものが必要だということを推察していたのだ、かれは妹の心根がいじらしくなり、眼をそらせながらしずかに身支度をした。
すっかりしたくが終ると、灯のそばへ坐って妹を呼んだ、「これへまいれ萩尾、申し聞かすことがある……」萩尾は兄の前へ坐り直し、両手を膝に面を伏せた、これからなにを云われるかということも察しているのであろう、額のあたりは蒼ざめているし、行燈の光りをうつしてほつれ毛が微かにふるえていた、「おまえにはずいぶん苦労をかけた、この三年、よくぞ貧窮の暮しに耐えて来て呉れたと思う、おれはもういちど世の花を見せてやれると信じていた、これまでの艱難を償ってやる時が来ると信じていたが、武運つたなくしてどうやらそれも仇に終るらしい、兄としてはとうとうなにもして遣ることはできなかった、どうかゆるして呉れ」「兄上さま……」「いや暫く黙って聞くがよい、おれはもう少しすると此処を出てゆく、どこへ、なんのためかということは話せない、しかしいずれにしても」そこまで云いかけて四郎兵衛はふいに口を噤んだ、深夜の道に戞々と馬蹄の音がし、それがこの家の表へ来て停った