Classici giapponesi con furigana
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はちのき
鉢の木
山本 周五郎
Leggi 鉢の木 (はちのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.534 caratteri · 28 schermate
事があって勘当された。――折をみて必ず帰参のかなうように計ろう、望みを棄てずに暫く辛抱するがよい、旧友のひとりがそう云って呉れるのをたよりに、妹の萩尾をつれて退国したかれは、遠いしるべの伝手でこの酒波の里へ身を隠した、酒波は近江のくに高島にあり、琵琶湖の今津という船着き場から二里ほどの在に当る、そのころ旧主の鳥居彦右衛門は徳川家康のお側去らずで、殆んど京か伏見に詰めていたから、少しでも近くという意味でそういう処を選んだのであった。……かれには貯えというほどのものも無かったので、はじめから僅かな持物を売り食いにして暮した、本来そのような山里で、武家の道具を買う者などある筈はないのだが、佐伯又左衛門という土地の資産家があり、兄妹の身の上に同情したようすで、なに品に限らずこころよく買って呉れた。佐伯家はなん百年という伝統をもった名だかい豪族であるが、当主の又左衛門は二十七歳にもなるのにまだ独身だった、父も母もはやく世を去り、噂によるとかれ自身も病弱のため、その年まで娶らずにいるのだという。高い築地塀をめぐらした屋敷構えは、その造りも位置も、そして空壕や石塁の跡などの遺っている