Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate

Aozora Bunko

黄金環

挑戦

黄金環

挑戦

それから一と月あまり、江戸はすっかり初夏になりきって、町懐ろを彩どる稲荷の祠も、若々しい青葉に包まれ、朝々には時鳥が、いらかの波の上を大川へそれて、町々に初鰹売りの声が、高々と響き渡るのでした。

斑組六人男の五人までは明らかに死んでしまいましたが、たった一人残ったはずの、凶賊の首領の行方は、それっきりわからず、困ったことに、その本名も、人相も、年輩も、性別さえもわからないのですから、江戸町人達の心の底には、一脈の不安がコビリついたまま、江戸開府以来といわれた捕物の名人銭形平次もまさに十手捕縄を預かって以来の、最初の黒星を頂戴したことになりました。

「銭形の親分は何んとかしてくれるだろうよ」

江戸の年寄り達はそういいました。平次に対する、抜くべからざる信頼感です。

「いや、平次も今度は大味噌をつけたよ。斑組の首領が、雌か雄かわからないようじゃ、四人殺しの下手人も挙りっこはあるめえ」

若い人達はそういって面白がりました。偶像破壊的な興味です。

こんな取り沙汰を他所に、平次は気のない顔をして、ぼんやりとその日その日を暮しておりました。小遣も煙草も尽き、晩酌の工夫に女房のお静が肝胆を砕くのをいじらしく眺めながら、さて、御輿をあげようともしないのはなんとしたことでしょう。