Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate
「あッ、助けてエ」
閉めきった障子の中に起った絶叫は、紛れもないお静の声だったのです。
「野郎ッ」
八五郎は力一パイ格子を引きあけましたが、中にどんな締りがあったものか、地獄の門のように厳重で、押せども引けども、貧乏ゆるぎもすることではありません。
家の中からは暫く揉み合う音が聞えて居りましたが、やがてそれもピタリと鎮まって、無気味な静けさが、夕闇と共に人に迫ります。
「開けろ、開けろ」
八五郎はやけにこぶしを当てましたが、格子はお長屋中に高鳴るだけで、中からは何んの応えもありません。
「さア、皆んな手を借してくれ。間違ったら格子戸を打ちこわしても構わない」
「よし来た」
六人の手は隙間もなく格子戸に掛りました。ヒイ、フの、ミと強引に押し開けると、輪鍵はカラリと土間に飛んで、格子はどうやら口を開けます。
「それッ」
六人は一団となって飛び込みました。障子を弾ね飛ばすように開けて、六畳の居間に入りました。行燈に灯りが入って、長火鉢の火がカンカン起きているのに、曲者の姿は愚か、かんじんのお静の美しい姿も見えなかったのです。
「お勝手だ」
八五郎は真っ先にお勝手へ行って見ましたが、出口は厳重に締っているのにそこも空っぽ、へっついの蔭などを覗いたところで、何んにもなるわけはありません。