Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate

Aozora Bunko

場所の心覚えに違げえねえ」

「――」

「近江屋が殺された、五重の塔の上には金がない。悪者――一人か二人か知らないが、兎も角、その生き残った仲間が、あせり出したのも無理のないことだ」

平次は斯う筋道を立てて話して行くのです。

「その紙片にどんな事が書いてあったんです、親分」

八五郎は義憤が解けると、新らしい緊張に引入れられました。

「あわてるな、野原の中の一軒家じゃない。石を投り込んだ奴の仲間が、何処かで耳をすましていないものでもあるめえ」

平次は落着き払って、煙草の煙を輪に吹いております。

「成程ね、待って下さいよ、親分」

八五郎はいきなり椽側から飛び出しました。さすがに馴れたもので、その動きは間髪を容れず、椽の下から飛び出した小僧は、真に脱兎の如く、低い生垣を飛び越えるのが精一杯でした。

「野郎、待ちやがれ」

その後を追う八五郎、路地の外まで暫らくは鳴らしましたが、小犬と牡牛ほどのスピードの違いがあるわけでもないのに、通りへ出た時は、最早影も形もありません。

「畜生奴、今度来やがったら、ワサビおろしで摺って小僧汁をこしらえてやるから覚えていやがれ」

八五郎は小鼻をふくらませて、フウフウ言いながらもどって来ました。