Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate

Aozora Bunko

お栄の言葉は思わぬ方へ飛躍するのでした。

「親分」

「――」

「何んという因果だろうね――女泥棒の私が、人もあろうに江戸一番の人気者十手捕縄を預っている、銭形の平次親分に、命を賭けて惚れたのだよ」

「――」

それは実に驚くべき告白です。二万両の小判を積んだ、地獄の底のような陰惨な穴倉の中に稀代の女賊――妖麗この上もないお栄が恥も外聞も捨てて、こういいきるのでした。

「そのために、私はいろいろの細工をした。お静さんを二度までもおびき出させた――そのくせ私は親分のところへ押しかけて行くほどの気力もなく、お静さんを殺す気にもなれなかった。私はたった十六の小娘のように、身も細るばかりに焦がれていた。親分」

お栄はガックリと床の上に膝を突くと、平次の裾にまつわりつくように、サメザメと泣くのです。

「ばかなッ」

銭形平次――江戸開府以来といわれた男も、十手を握ってから、この時ほど困ったことはありません。

「親分、私はどうすれば宜いでしょう。斑組の盗み溜めた二万両、これは親分の手でお上へ差上げて、せめてもの手柄にして下さい。尾州の蔵屋敷から盗まなくても宜い一万両を盗み出したのは、親分をここへ呼び寄せて、手柄を立てさせたいばかり。