Classici giapponesi con furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Leggi 鎧櫃の血 (うし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.702 caratteri · 99 schermate
「その若い奉公人というのは私だ。そのときちょうど二十歳であったが、その鯉の大きいにはおどろいた。まったく不忍池の主かも知れないと思ったくらいだ。」
二
新堀端に龍宝寺という大きい寺がある。それが和泉屋の菩提寺で、その寺参りの帰り途にかの大鯉を救ったのであると、梶田老人は説明した。鯉は覚悟のいいさかなで、ひと太刀をうけた後はもうびくともしなかったが、それでも梶田さん一人の手には負えないので、そこらの人達の助勢を借りて、龍宝寺まで運び込んだ。寺内には大きい古池があるので、傷ついた魚はそこに放された。鯉はさのみ弱った様子もなく、洋々と泳いでやがて水の底に沈んだ。
仏の忌日にいい功徳をしたと、三右衛門はよろこんで帰った。しかも明くる四日の午頃に、その鯉が死んで浮きあがったという知らせを聞いて、彼はまた落胆した。龍宝寺の池はずいぶん大きいのであるが、やはり最初の傷のために鯉の命はついに救われなかったのであろう。乱暴な旗本の次男の手にかかって、むごたらしく斬り刻まれるよりも、仏の庭で往生したのがせめてもの仕合せであると、彼はあきらめるのほかはなかった。