Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Leggi 鎧櫃の血 (うし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.702 caratteri · 99 schermate

Aozora Bunko

身なりはもちろん粗末であったが、その顔立ちといい姿といい、この毛皮売の老人の道連れにはなにぶん不似合いに見えたので、三人の眼は一度にかれの上にそそがれた。

「江戸のお客さまを相手にするには、おれよりもお前のほうがいいようだ。」と、男は笑った。

「さあ、おまえからお願い申せよ。」

娘は恥かしそうに笑いながら進み出た。

「今も申す通り、偽物などを売るような私らではございません。そんなことをしましたら、福島のお代官所で縛られます。安心してお求めください。」

梅次郎も義助も若い者である。眼のまえに突然にあらわれて来た色白の若い女に対しては、今までのような暴っぽい態度を執るわけにもいかなくなった。

「姐さんがそう言うのだから偽物でもあるまいが、熊の胆はもう前の宿で買わされたのでな。」と、義助は言った。

これはどの客からも聞かされる紋切型の嘘である。この道中で商売をしている以上、それで素直に引下がる筈のないのは判り切っていた。娘は押返して、買ってくれと言った。梅次郎と義助は買うような、買わないような、取留めのないことを言って、娘にからかっていた。梅次郎は、ことし廿一で、本来はおとなしい、きまじめな男であったが、長い道中のあいだに宿屋の女中や茶屋の女に親しみが出来て、この頃では若い女に冗談の一つも言ってからかうようになったの