Classici giapponesi con furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Leggi 鎧櫃の血 (うし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.702 caratteri · 99 schermate
一旦かどわかされた娘をようよう連れ戻して来たところ、その悪者どもが付けて来て、再びかどわかして行ったのであろうということにすれば、こちらに油断の越度があったにもせよ、世間からは気の毒だと思われないこともない。ともかくも大きな恥をさらさないで済みそうである。夫婦の相談はまずそれに一致した。
「それにしても、梅ちゃんも義助もあんまりじゃありませんか。」と、お此は腹立たしそうに言った。「江戸へ帰る途中で、お元の袂に鼠を見付けたことがあるなら、誰かがそっと知らせてくれてもいいじゃありませんか。お国が話してくれなければ、わたし達はいつまでも知らずにいるのでした。このあいだも梅ちゃんにきいたら、途中ではなんにも変ったことはなかった、なぞと白ばっくれているんですもの。」
「まあ、仕方がない。梅次郎や義助を恨まないがいい。誰よりも彼よりも、わたしが一番悪いのだ。私が馬鹿であったのだ。」と、七兵衛は諦めたように言った。「そんな者にだまされたのが重々の不覚で、今さら人を咎めることはない。みんな私が悪いのだ」
さすがは大家の主人だけに、七兵衛はいっさいの罪を自分にひき受けて、余人を責めようとはしなかった。