Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Leggi 鎧櫃の血 (うし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.702 caratteri · 99 schermate

Aozora Bunko

それから二日目の夜の更けた頃に、お元は身拵えをして七兵衛夫婦の寝間へ忍び寄ると、それを待っていた七兵衛は路用として十両の金をわたした。彼は小声で言い聞かせた。

「江戸にいると面倒だ。どこか遠いところへ行くがいい。」

「かしこまりました。おかみさんにもいろいろ御心配をかけました。」と、お元は蚊帳の外に手をついた。

「気をつけておいでなさいよ。」

お此の声も曇っていた。それをうしろに聞きながら、お元は折からの小雨のなかを庭さきへ抜け出した。横手の木戸を内からあけて、かれのすがたは闇に消えた。

あくる朝の近江屋はお元の家出におどろき騒いだ。主人夫婦も表面は驚いた顔をして、人々と共に立ち騒いでいた。

その予定の筋書以外に、かれら夫婦を本当におどろかしたのは、四谷からさのみ遠くない青山の権太原の夏草を枕にして、二人の若い男が倒れているという知らせであった。男のひとりは近江屋の手代義助で、他のひとりは越前屋の梅次郎である。義助は咽喉を絞められていた。梅次郎は短刀で脇腹を刺されていた。その短刀は近江屋の土蔵にある質物を義助が持ち出したのである。死人に口なしで勿論たしかなことは判らないが、検視の役人らの鑑定によれば、かれらはこの草原で格闘をはじめて、梅次郎が相手を捻じ伏せてその咽喉を絞め付けると、義助も短刀をぬいて敵の脇腹