Classici giapponesi con furigana
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もん
門
Leggi 門 (もん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.830 caratteri · 278 schermate
「文庫は御宅のでしょうね。いいんでしょうね」と念を押して、何にも知らない下女を気の毒がらしているところへ、最前の仲働が出て来て、
「どうぞ御通り下さい」と丁寧に頭を下げたので、今度は宗助の方が少し痛み入るようになった。下女はいよいよしとやかに同じ請求を繰り返した。宗助は痛み入る境を通り越して、ついに迷惑を感じ出した。ところへ主人が自分で出て来た。
主人は予想通り血色の好い下膨の福相を具えていたが、御米の云ったように髭のない男ではなかった。鼻の下に短かく刈り込んだのを生やして、ただ頬から腮を奇麗に蒼くしていた。
「いやどうもとんだ御手数で」と主人は眼尻に皺を寄せながら礼を述べた。米沢の絣を着た膝を板の間に突いて、宗助からいろいろ様子を聞いている態度が、いかにも緩くりしていた。宗助は昨夕から今朝へかけての出来事を一通り掻い撮んで話した上、文庫のほかに何か取られたものがあるかないかを尋ねて見た。主人は机の上に置いた金時計を一つ取られた由を答えた。けれどもまるで他のものでも失くなした時のように、いっこう困ったと云う気色はなかった。時計よりはむしろ宗助の叙述の方に多くの興味を有って、泥棒が果して崖を伝って裏から逃げるつもりだったろうか、または逃げる拍子に、崖から落ちたものだろうかと云うような質問を掛けた。