Classici giapponesi con furigana
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もん
門
Leggi 門 (もん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.830 caratteri · 278 schermate
彼は即座に云うべき言葉を見出し得なかったので、いたずらに、見慣れたものの上に、さらに新らしくもない眼を据えていた。
主人は宗助をもってある程度の鑑賞家と誤解した。立ちながら屏風の縁へ手を掛けて、宗助の面と屏風の面とを比較していたが、宗助が容易に批評を下さないので、
「これは素性のたしかなものです。出が出ですからね」と云った。宗助は、ただ
「なるほど」と云った。
主人はやがて宗助の後へ回って来て、指でそこここを指しながら、品評やら説明やらした。その中には、さすが御大名だけあって、好い絵の具を惜気もなく使うのがこの画家の特色だから、色がいかにもみごとであると云うような、宗助には耳新らしいけれども、普通一般に知れ渡った事もだいぶ交っていた。
宗助は好い加減な頃を見計らって、丁寧に礼を述べて元の席に復した。主人も蒲団の上に直った。そうして、今度は野路や空云々という題句やら書体やらについて語り出した。宗助から見ると、主人は書にも俳句にも多くの興味を有っていた。いつの間にこれほどの知識を頭の中へ貯え得らるるかと思うくらい、すべてに心得のある男らしく思われた。宗助は己れを恥じて、なるべく物数を云わないようにして、ただ向うの話だけに耳を借す事を力めた。