Classici giapponesi con furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Leggi 陰獣 (いんじゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.968 caratteri · 131 schermate
私はその後それらの手紙の保管を頼まれて、今でもここに持っているが、その内最初に来たものは、話の筋を運んで行くのに都合がよいから、それをここに貼りつけて置くことにしよう。
静子さん。私はとうとう君を見つけた。君の方では気がつかなんだけれど、私は君に出逢った場所から君を尾行して、君の邸を知ることが出来た。小山田という今の君の姓も分った。君はまさか平田一郎を忘れはしないだろう。どんなに虫の好かぬ奴だったかを覚えているだろう。私は君に捨てられてどれ程悶えたか、薄情な君には分るまい。悶えに悶えて、深夜君の邸の廻りをさまよった事幾度であったろう。だが、君は、私の情熱が燃え立てば燃え立つ程、益々冷かになって行った。私を避け、私を恐れ、遂には私を憎んだ。君は恋人から憎まれた男の心持を察しることが出来るか。私の悶えが歎きとなり、歎きが恨みとなり、恨みが凝って、復讐の念と変って行ったのが無理であろうか。君が家庭の事情を幸いに、一言の挨拶もなく、逃げる様に私の前から消去った時、私は数日、飯も食わないで書斎に坐り通していた。そして、私は復讐を誓ったのだ。私は若かったので、君の行衛を探す術を知らなんだ。