Classici giapponesi con furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Leggi 陰獣 (いんじゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.968 caratteri · 131 schermate
五
私は「屋根裏の遊戯」を読んでいた丈けに、この静子の一見突飛な話を、一笑に附し去ることが出来なかったばかりでなく、私自身激しい恐怖を感じないではいられなかった。私は屋根裏の暗闇の中で、真赤なとんがり帽と、道化服をつけた太っちょうの大江春泥が、ニヤニヤと笑っている幻覚をさえ感じた。
五
私達は色々相談をした末、結局私が「屋根裏の遊戯」の中の素人探偵の様に、静子の居間の天井裏へ上って、そこに人のいた形跡があるかどうか、若しいたとすれば、一体どこから出入したのであるかを、確めて見ることになった。静子は、「そんな気味の悪いことを」と云ってしきりに止めたけれど、私はそれをふり切って、春泥の小説から教わった通り、押入れの天井板をはがして、電燈工夫の様にその穴の中へもぐって行った。丁度邸には、さっき取次に出た少女の外に誰れもいなかったし、その少女も勝手元の方で働いている様子だったから、私は誰に見とがめられる心配もなかったのだ。
屋根裏なんて、決して春泥の小説の様に美しいものではなかった。古い家ではあったが、暮の煤掃の折、灰汁洗屋を入れて、天井板をはずしてすっかり洗わせたとのことで、ひどく汚くはなかったけれど、それでも、三月の間にはほこりも積んでいるし、蜘蛛の巣もはっていた。