Classici giapponesi con furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Leggi 陰獣 (いんじゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.968 caratteri · 131 schermate
彼女の糸切歯は真白で大きくて、笑う時には、唇の端がその糸切歯にかかって、謎の様な曲線を作るのだが、右の頬の青白い皮膚の上の大きな黒子が、その曲線に照応して、何とも云えぬ優しく懐しい表情になるのだった。
だが、若し私が彼女の項にあの妙なものを発見しなかったならば、彼女はただ上品で優しくて弱々しくて、触れば消えてしまいそうな美しい人という以上に、あんなにも強く私の心を惹かなかったであろう。彼女は巧みに衣紋をつくろって、少しも態とらしくなく、それを隠していたけれど、上野の山内を歩いている間に、私はチラと見てしまった。彼女の項には、恐らく背中の方まで深く、赤痣の様な太い蚯蚓脹れが出来ていたのだ。それは生れつきの痣の様にも見えたし、又、そうではなくて、近頃出来た傷痕の様にも思われた。青白い滑かな皮膚の上に、恰好のいいなよなよとした項の上に、赤黒い毛糸を這わせた様に見えるその蚯蚓脹れが、その残酷味が、不思議にもエロティクな感じを与えた。それを見ると、今迄夢の様に思われた彼女の美しさが、俄かに生々しい現実味を伴って、私に迫って来るのであった。
話している間に、彼女は合資会社碌々商会の出資社員の一人である実業家小山田六郎氏の夫人、小山田静子であったことが分って来たが、幸なことには、彼女は探偵小説の読者であって、殊に私の