Classici giapponesi con furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Leggi 陰獣 (いんじゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.968 caratteri · 131 schermate
そのよく太った肩の向うに、ハンドルに掛けた両手が、チロチロと動いているのだが、武骨な手先に似合わしからぬ上等の手袋が被さっている。しかもそれが時候はずれの冬物なので、一入私の目を惹いたのでもあろうが、それよりも、その手袋のホックの飾釦……私はやっとこの時になって悟ることが出来た。嘗つて私が小山田家の天井裏で拾った、金属の丸いものは、手袋の飾釦に外ならぬのであった。私はあの金属のことを糸崎検事にも一寸話はしたのだったが、丁度そこに持合せていなかったし、それに、犯人は大江春泥と明かに目星がついていたので、検事も私も遺留品なんか問題にせず、あの品は今でも私の冬服のチョッキのポケットに入っている筈なのだ。あれが手袋の飾釦であろうとは、まるで思いも及ばなかった。考えて見ると犯人が指紋を残さぬ為に、手袋をはめていて、その飾釦が落ちたのを気づかないでいたということは、如何にもあり相なことではないか。
だが、運転手の手袋の飾釦には、私が屋根裏で拾った品物を教えてくれた以上に、もっともっと驚くべき意味が含まれていた。形といい、色合といい、大きさといい、それらは余りに似過ぎていたばかりでなく、運転手の右手にはめた手袋の飾釦がとれてしまって、ホックの坐金丈けしか残っていないのは、これはどうしたことだ。