Classici giapponesi con furigana
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くものこみち
雲の小径
久生 十蘭
Leggi 雲の小径 (くものこみち) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.634 caratteri · 33 schermate
香世子の霊はそれで帰ったのだとみえ、茨木が覚醒してハッキリした声をだした。
「おすみになりましたようですね。今夜の心霊のごようすは、いかがでした」
「ありがとうございました。はっきりと、よく話せました」
「東京へお帰りになりますか」
「今日は妙義町の菱屋という家に泊ります」
「では、その辺までお送りいたしましょう。ちょっとお待ちを」
茨木はつづきの部屋へ入ると、ワンピースに着換えて出てきた。
「道が楽でございますから、裏山道からまいりましょう」
そういうと、白川の手をひいて石の洞門のあるほうへ歩きだした。
しばらく行くと、霧のなかから滝の音が聞えてきた。おりるといったが、下っているようには思えない。朦朧とあらわれだしては、すぐまた霧のなかへ沈みこむ、さまざまなかたちの岩を左右にみながら、ぶらぶら歩いているうちに、石の柱をおしたてたような台地の上に出た。
雲と霧の名所だけのことはあって、深い谷底から、たえ間もなく雲が噴きあがってきて、大旆のように吹きなびいては、空に消えてゆく。
白川は四方から来る雲に巻かれ、眠いような、うっとりとした気持で煙草を喫っていると、うしろにいた茨木が、