Classici giapponesi con furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Leggi 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.550 caratteri · 203 schermate
そして、彼の胸に、法眼に対する憤激の情が燃えていた間は、彼の足どりにも、十分の元気があった。
しかし、一丁下り、二丁下りしている間に、そのはかない炎は、襟元から吹き入る夕風のために、だんだんと吸い取られて行くのだった。そして最後に彼の心に残ったものは、涯しもない空虚の感じと、それからしみ出る奥の知れない淋しさであった。
――すでに三年も前に、自分の心は見事に開けていたはずではなかったか。そして、たった今法眼に対して、心に微塵のくもりもないと豪語した自分ではなかったか。それだのに、この淋しさは何事だ。まだ心が曇りだらけだった頃ですら、これほど深い、大きな淋しさに出逢ったためしはなかったのに。――
彼は、自分の血と肉とが、一足ごとに崩れ落ちるようにすら感じた。そして、とうとう堪えきれなくなって、路ばたの草むらの中にころがっていた石に、腰を下した。石にはひえびえとした露がおりていた。
間近かの樹で、鴉が啼いた。それを最後にして、光も音もない。まっ暗な山が、彼を包んでしまった。彼は黙然として考えにふけった。
――法眼といえば、何といっても五百人の善知識だ。