Classici giapponesi con furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Leggi 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.550 caratteri · 203 schermate
これはもう十年も前にきいた話で、群馬県内のある電話交換手とだけしか記憶していませんが、その交換手が、今の金に直せば千円ぐらいにも当りましょうか、当時の一銭銅貨四百五十枚、都合四円五十銭という金を局長のところに持って来て、何か適当な公共事業に寄附してもらいたいと申し出ました。局長は、一交換手でそれだけの金の寄附を申し出ることが第一ふしぎな上に、その金が一銭銅貨ばかりなので、いよいよふしぎに思い、くわしく事情を問いただして見ました。すると、そのいわれはこうだったのです。
交換手としてはふだん親切第一をモットーにして働いてはいるが、加入者の中にはいばり屋も居れば、短気者も居り、またしばしば酔払いも居る。そうした人たちに、あまり無茶なことをいわれると、わるいとは知りつつ、ついこちらも乱暴な言葉を使うようになる。これではならぬと思ってもそれがなかなか直らない。いつも後悔することばかりである。で、いろいろ考えたあげく、交換台のそばに一つの貯金箱をおいて、自分が乱暴な言葉づかいをしたと気がつくたびごとに、一銭銅貨を一枚ずつそれに投げこむことにした。それをはじめてから、もうかれこれ一年になるが、やっとこのごろになって、相手にどんな乱暴なことをいわれても腹が立たなくなった。