Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
と目で制してにらみ、何くわぬ顔ですました。
その時、襖があき、酒と肴とが運ばれた。
「さあ、お前さんも。」と彼女はいった。「一つおあがり。口をあいて。口をよ。」
そうして彼女は杉箸を裂き、一切れの寿司をつまむと、
「口をおあきってばさ!」と男がさし出した手のひらをぴしゃりとうっていった。男はいやしく笑いながらあんぐりと黒い口を開いた。
「ばかな、犬さん。さあ、お帰り。これはおあずけよ。」
彼女は大きな飯の塊を無理に男の口に押し込み、そのぶざまに頬ばった口つきを見てあはあはと高く笑いながら、もう一片の海苔巻きをつまんでその男の手のひらの上へポイと投げた。
「ワンワン、これはどうも、えらいごちそうさま。ヘッヘッ。」
いやしくこう笑ってピシリと膝節の音を立てながらたち上がった時、そのつるりとした男の顔は無気味なあか味をさしていた。そしてその細い目がこんなに大きく開くのかと驚かれるほど大きく目をむいてギョロリと女をにらむと、再び目を細くして声もなく口をいっぱいに開き、そして去った。
「あれは犬なのよ。ほんとうの犬なのよ。」と女はちょっとの間、気配をうかがったあとでいった。