Classici giapponesi con furigana
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すまでらふきん
須磨寺附近
山本 周五郎
Leggi 須磨寺附近 (すまでらふきん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.396 caratteri · 21 schermate
康子は白いものを刷いた頬をちょっと押えながら笑った。清三はそうした場所にあってことに美しい女の姿を見た。
「次の幕が開いたら、二階の食堂に行っててちょうだい」
それだけ云うと康子は清三から離れた。
電鈴が鳴ると、廊下の人波は皆扉の中に流れ入ってしまった、清三は命ぜられたままにした、食堂には客の姿は見えなかった。
康子の来るまでに清三は二杯の牛乳を空けた、時間にしたら二十分たっぷりであろう、いらだたしい眼が、何度か壁のクリムトの複製画に止まった。平常は大好きであるこの画家が、そのときはこの上もなく平凡に倦怠に見えた。
「失礼、赦してね」
康子は清三と向合って坐りながら云った。清三のいらいらした気持はすぐ烟のように消えていくのを覚えた。数皿の軽い料理が運ばれて、康子が清三に喰べろと云った、清三は葡萄酒で煮たという仔牛の肉を平げた。
「すぐ帰る? それとも観ていらっしゃる?」
清三は思いがけない気持で康子の言葉を聞いた、すくなくとももう少し情に訴えるものを期待していたのである。
「帰ります」
「観ていらっしゃい、一緒に帰りましょう」
康子は清三の気持を感じたらしかった。