Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.494 caratteri · 26 schermate
間もなくお調べがあるだろうが、ここまで漕ぎつけりゃア、こっちのもの、たぶんなんとかなるだろう。……せめてあのときの使いの手紙でも手もとにあったら、こんな苦境に陥らなくてもすんだろうが、むこうの言いなり次第にうっかり返してやったばっかりに、とんだ目にあってしまった。……こうなった以上は、せめて、ぬすっとの手がかりだけでもつけておかねば二進も三進もいきゃアしねえ。……といっても、今までに辿りついたところでは、証拠といっても至って心細いもんだが、他になにひとつ手がかりはねえんだから、こいつに獅噛みついて、どうでも突きつめるより他はねえ」
むっくり起きあがると大あぐらをかき、長い顎のさきを抓み抓み、
「数寄屋で香を焚いていたものなら、茶室に入ったときにもう匂っていなければならぬはずだ。ところで、あの香りがホンノリおれの鼻に来たのは、どう考えても、あの腰元面が入って来てからのことだった。と、すると、あの匂いは、あいつの身についていた匂いだと思う他はない。おれの鼻は馬鹿じゃない。ワンワンほどには行かぬけれど、自慢じゃないが、これでそうとう、ものを嗅ぎわけるほうだから、この感じには間違いはあるまい。