Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.674 caratteri · 36 schermate
「そりゃ、そうありましょう」
「……さわって見ると、これが冷たい。……たしかに、夢じゃない……すぐ届けりゃよかったんですが……」
「子のかわいさにひかされて、お雪に手をつけた」
「その通り……。いくら逆上したといっても、そこはお侍。それをしたら大変なことになると、いったんは、すぐ訴えでようと思ったそうですが、眼の前で、せがれが熱に苦しんで、虫のような細い声で、お雪を、お雪を、と囈言をいっている……」
「ふむ」
「……ほうっておけば、どうせ、溶けてなくなるもの、ひとかけらぐらはいいだろう。……さあ、雪だぞ、と言って、子供の口にさしつけると、ひと心地のないながらに、ああ冷たい、うまいねえ、と子供は夢中になって喜びます。……なにしろひどい熱ですから、ものの五分もたたぬうちに、また喉をかわかして、雪をおくれという……。こうなるとたまらない、堰が切れたようになって、もうひとかけらぐらい、いいだろう……もうひと口はいいだろう。……いいだろう、いいだろう、で、すすらせるほうと溶けるほうで、見る見る雪がへってゆく。こうなればもう破れかぶれ、いっそのこと、この雪で額や胸を冷やしてやったら、どんなに子供が楽になるだろう……。