Classici giapponesi con furigana
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ガドルフのゆり
風の又三郎
Leggi 風の又三郎 (ガドルフのゆり) di Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.150 caratteri · 48 schermate
マグノリアの木
霧がじめじめ降っていた。
諒安は、その霧の底をひとり、険しい山谷の、刻みを渉って行きました。
沓の底を半分踏み抜いてしまいながらそのいちばん高い処からいちばん暗い深いところへまたその谷の底から霧に吸いこまれた次の峯へと一生けんめい伝って行きました。
もしもほんの少しのはり合で霧を泳いで行くことができたら一つの峯から次の巌へずいぶん雑作もなく行けるのだが私はやっぱりこの意地悪い大きな彫刻の表面に沿ってけわしい処ではからだが燃えるようになり少しの平らなところではほっと息をつきながら地面を這わなければならないと諒安は思いました。
全く峯にはまっ黒のガツガツした巌が冷たい霧を吹いてそらうそぶき折角いっしんに登って行ってもまるでよるべもなくさびしいのでした。
それから谷の深い処には細かなうすぐろい灌木がぎっしり生えて光を通すことさえも慳貪そうに見えました。
それでも諒安は次から次とそのひどい刻みをひとりわたって行きました。
何べんも何べんも霧がふっと明るくなりまたうすくらくなりました。
けれども光は淡く白く痛く、いつまでたっても夜にならないようでした。
つやつや光る竜の髯のいちめん生えた少しのなだらに来たとき諒安はからだを投げるようにしてとろとろ睡ってしまいました。