Classici giapponesi con furigana
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ガドルフのゆり
風の又三郎
Leggi 風の又三郎 (ガドルフのゆり) di Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.150 caratteri · 48 schermate
(これがお前の世界なのだよ、お前に丁度あたり前の世界なのだよ。それよりもっとほんとうはこれがお前の中の景色なのだよ。)
誰かが、或いは諒安自身が、耳の近くで何べんも斯う叫んでいました。
(そうです。そうです。そうですとも。いかにも私の景色です。私なのです。だから仕方がないのです。)諒安はうとうと斯う返事しました。
(これはこれ
惑う木立の
中ならず
しのびをならう
春の道場)
どこからかこんな声がはっきり聞えて来ました。諒安は眼をひらきました。霧がからだにつめたく浸み込むのでした。
全く霧は白く痛く竜の髯の青い傾斜はその中にぼんやりかすんで行きました。諒安はとっととかけ下りました。
そしてたちまち一本の灌木に足をつかまれて投げ出すように倒れました。
諒安はにが笑いをしながら起きあがりました。
いきなり険しい灌木の崖が目の前に出ました。
諒安はそのくろもじの枝にとりついてのぼりました。くろもじはかすかな匂を霧に送り霧は俄かに乳いろの柔らかなやさしいものを諒安によこしました。
諒安はよじのぼりながら笑いました。
その時霧は大へん陰気になりました。