Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
彼は玉村家から福田家へ養子に貰われて行ったのだが、養父母を見送り、妻も昨年世を去って子供もなく、現在は本当の一人ぽっちであった。一種風変りな性質の彼は、その孤独を結句喜んで、後妻を迎えようともせず、数人の召使と共に、広い洋風邸宅に、滅入った様な陰気な日々を送っていた。
ところが、ある日のこと、誠に唐突に、彼の静かな生活を脅かして、奇怪千万な事件が起った。
福田氏は、以前から一体陰気な性質であったが、夫人を失ってからは、一層それが嵩じて、終日一間にとじ籠っている様な日が多かった。三度の食事の外は、召使と顔を合わせる事もなく、日が暮れると、サッサとベッドにもぐり込む。ベッドに這入る前に、寝室と書斎との二部屋に分れている彼の私室の、窓にも扉にもすっかり内部から錠をおろして置くのが例になっていた。
で、ある朝福田氏がベッドの中で眼を覚ますと、着ていた白い毛布の上に、一枚の紙が置いてあったのだ。変だなと思って手に取って見ると、タイプライター用紙に、鉛筆の拙い文字で、大きく、
十一月廿日
と認めてあった。その外には何の文句もなく、誰が書いたのか、何を意味するのか、少しも分らぬ。