Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
それを見ると、一同縮み上って、ゾロゾロと別室へ退却した。彼等は、首領の云い出したらあとへは引かぬ、依怙地な気性をよく呑みこんでいたからだ。
引違いに、たった一人で這入って来たのは、源造にとっては一人娘の文代である。
「お前、どこへ行っていた」
源造が酒臭い息と共に怒鳴りつけた。
「ちょっと、お化粧の道具を買いに……」
「嘘を云え。こんな夜更けに、どこの店が起きている。お前、明智の野郎と媾曳をしていたのだろう」
ズバリと云って娘の顔を睨みつけた。流石の文代も、この不意うちに、ギョッとして、思わず赤くなった。
「マア、何を云っていらっしゃるの。そんなことが……」
「ア、やっぱりそうだな。そのうろたえ方を見ろ。とうとう尻尾を掴んだぞ。さあ白状しろ。いつか明智をこの船から、オオ、そうだ部屋も同じ此部屋だ。ここから逃がしてやったのは、さては貴様だったな」
源造はムラムラと起る癇癪に、いきなり手にしていたコップを、我が娘めがけて投げつけた。コップは文代の頬をかすめ、背後の壁に当って、こなごなに破れてしまった。
「アレ!」
と叫んで逃げようとするのを、腕を掴んで引き戻し、そこへ押しころがすと、あり合わせた細引きを鞭にして、ビシリビシリ叩き始めた。