Classici giapponesi con furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Leggi 魔都 (まと) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 293.999 caratteri · 578 schermate
どうか、あとはお察し下さい」
襖の外で、こんばんは、という清しい声がして、二十三四の、水の垂れそうな島田にスッキリと櫛の歯が通って、すこし痩せ身な、眉の濃い、眼元のパッチリとした、気高いほどに美しい芸者が敷居際に軽く片膝をついて、
「明けましておめでとう。今年も御贔屓に、というわけね」
スラリと座敷へ入って後をしめると、
「悪党が揃ってまたなにか企らんでいるわ。……おや、大した顔触れじゃないの。これはこれは、光大将までいるわね。ご機嫌いかが?」
鶴の羽小紋の紋付の二枚袷、小松くずしの裾模様を曳いて志摩徳の傍へ行くと、
「また悪い相談でしょう。元旦っぱなからなんですか。すこしお慎みなさい」
と、ピシャリと志摩徳の頭を叩く。
志摩徳は金魚が餌づきをするような口つきで、あは、ああはと笑って、
「いづみ、どうもお前には敵わない。さア、これがお土砂だ」
といって、袱紗に包んだ一包みを投げ出す。いづみは屈託のないようすでそれを取上げると、帯のお太鼓の中へ落し込んで、
「お護符にしとくわ、悪魔除けの」
そこへ、酒月が花を連れて入って来る。罪人でも引っ立てるようにして来て花を座敷の真ン中に突きやると、険相な面をしてムンズリと志摩徳の前へ坐り、片手を懐中に入れたまま、ちょっと頭をさげ、