Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まと

魔都

久生 十蘭

Leggi 魔都 (まと) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 293.999 caratteri · 578 schermate

Aozora Bunko

この娘は前回に於て夜の十二時頃縫い上げた式服を松谷鶴子のところへ持って来た、崖下の仕舞屋の二階に住む桃沢花という縫子である。この愛くるしい小娘がしきりに胸を痛めている心配というのは一体なんであろう。しかし、尋ねたとて恐らく答えはしまいから、今のところは知るに由ないのである。

やがて八時真近かになると、幸田節三は万雷のような喝采を浴びながら演壇に登って行き、今日の瑞兆祝賀会について所感を述べることになったが、その所感なるものは、すでにしば/\夕陽新聞に掲載されたものと同巧異曲だから、ここにそれを叙述する必要はあるまい。

続いて登壇した水道課長は鶴の噴水の地下構築と当時の苦心談を一席述べて、てれ臭さそうに引退って行った。

記念品の授与式とはどんなことかと思ったら酒月園丁長の胸に金メタルを縫いつけてやるだけのことで、これも呆気なく済んでしまった。

祝辞の方は幸田節三が全部一人で代読した。その中には内務大臣や陸軍大将の祝辞も交っていたが真疑のほどは判らない。そうこうしているうちに九時十分前になった。あと二十二分経てば噴水の鶴は鳴き出す筈なのだが……。

誰の考えも同じと見え群衆の眼は銅像の方へ注がれてそこへ釘づけになっている。