Classici giapponesi con furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Leggi 魔都 (まと) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 293.999 caratteri · 578 schermate
「はあ、するてえと、殺り居ったね」
踏絵は懸命な声で、
「止せッてば、出鱈目をいうのは。そんな莫迦なことがあるもんか。何かほかのことだ」
山木はしつっこく首を振って、
「いや、そうなんだそうなんだ」
笑子は山木の袖を掴むと、
「ちょいと、山木の旦那、じゃ、どっちが殺られたって言うの」
「無論、キングの方です」
「誰に。何のために。ちぇッ、冗談だろう。あっしなら心中」
ハッチソンは身を反らしてこの論争を聞いていたが、やがて皮肉な口調で、
「へえ、みなさんはえらい事を知っているねえ……それはそうと、印東の旦那、あんたの御意見は」
印東は口紅を塗った薄い唇を反らしながら、
「殺られたとすれば、無論クイーンの方ね。巴里時代の皇帝の行状を知っているものなら、有りそうなことだと思うわ。おっとりしているようで実はあれでなかなか烈しいんだから。あの野蛮性はちょっと非凡よ、あの点だけはたしかに王様らしいわ」
ハッチソンは笑い出し、
「おお、そうですか。何しろ印東の旦那と岩井の且那は、モロに皇帝に喰い下って巴里で大尽遊びをしていなすった方だから、その旦那がそう言われるならそれに違いないだろう。