Classici giapponesi con furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Leggi 鰊漁場 (にしんぎょじょう) di 島木 健作 (しまきけんさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.483 caratteri · 49 schermate
それが走りがすむかすまないうちに時化で、枠網一枚台なしにしてしまうし、そんならヤン衆共を喰って埋めあわすばかりだと九一金全廃の腹をきめれば、帳場の奴がとんだどじを踏んでこんどの騒ぎになるし、何一つとしてろくなことはない……。
大丸の目の前には、蛙を狙っている蛇のようにこの漁場を狙って舌なめずりしている大山の親爺の顔がふたたびありありと浮きあがってくるのだった。この鰊場もおそかれ早かれ彼奴の手に渡るだろう。他の場合にはもう有利とはいえない鰊場も、海産物商である大山にはなお充分な利潤をもたらしてくれるのだ。彼奴はしかし決して自分で経営することはしないだろう。それかといって漁業権を他人に譲り渡すこともすまい。豊漁地であることに惚れこんでひっかかってくる漁業家に高い金で賃貸するのだ。同時に製品は思い切り安い値段で引きとり、――骨までしゃぶったあげくいい潮時を見て彼をそこからおっぽり出し、そこで彼奴はふたたび新しい「かも」のひっかかってくるのを待つだろう……。
「畜生!」
大丸はこんどは声に出してどなった。そしてあらゆる憎悪のこもった瞳を、何の策もなくぼんやり主人の命を待っている目の前の帳場に向って注いだ。