Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
と、いぶかしさにうたれているまに、虚無僧は開け放しになっている裏門から闇へ走りだしてしまった様子。
あとには、行燈が灯っていた。
とにかく、かれは一応、その部屋の安否をたしかめなければ胸さわぎがしずまらない。そこには、彼が剣山で手に入れた秘帖、世阿弥の血書が隠蔽してある。
周馬にちょっと口を辷らしたとおり、孫兵衛にはあの秘冊に血汐の細字で綴られている隠密組の隠語が読めないのであった。けれど、世阿弥が精血をそそいだ遺書というだけでも、それが、いかに蜂須賀家にとっても幕府にとっても、重大な渦乱をまき起こすひとつの鍵であるかは想像に難くない。
乃至、それをつかむ者には、出世の鍵だ!
どう転んでも、あの鍵をさえ握っていれば、生涯安楽な大禄にありつけることはあきらかだ。
「周馬の奴がジロジロするのもムリはない」
と常に、油断はせずに、肌身を離さずにいると見せて、実は、その部屋の床脇にある、色鍋島の壺の底へ隠しておいたのだ。
「あッ! 盗られたッ――」
部屋へ入るやいなや、何より先に、その壺の中へ手をつっこんだ孫兵衛は、みるまに顔色をかえて叫んだ。
けれど――壺はまったくの空ではなかった。