Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate

Aozora Bunko

「なるほど、もうそんなこともありそうな年頃。では、ついでをもって伺うが、その千絵女のほかに、お綱と申すものの消息をお知りなさるまいか」

「お綱? ……それはまた何者でござりますな」

「実を申すと、母違いの娘でござるが」

「ひと頃、大阪表を立ち廻っていた、女スリの見返りお綱という者はござったが? ……」

「いや、それは全く別人じゃ」

「無論、そのお綱ではござりますまい。だが、ほかにはお綱というような名は、誰の口からも聞いたことがなかった……」

「ないのが当然でござろう、親子の情、お笑い下さい」

「しかし世阿弥殿。ただ今お告げした通り、弦之丞殿が江戸へついた暁には、さだめし、それらの消息や、また公儀の旨をふくんで、いつかは一度、この山牢へも訪れるものと察しられる。必ずともそれを信じて、気を落さぬように」

「十一年ぶりで、初めてその吉報を聞きますわい。そうあればお手前もなおのこと、御短気をなされずに、阿波の密謀が公となって、幕府よりお救いのある日をお待ちなさるがよい」

「ところが……」と、一八郎は暗然として、

「某の命は旦夕に迫っています。それで……」

といいかけるうちに、もう彼の面には、ありありとした死相がうかんでいた。