Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
山の俊寛
九輪草の多い下り道を、少し大股になりかけると、削り落したような絶壁の下から、うねうねと渓谷に曲っていく道を、先に、話しながらいく男と女がチラと目に止まった。
山の俊寛
花が散る花が散る。
天女にも五衰の相の悲しみはあるというが、花の梢は、いくら散っても散っても衰えないで、大地に空に、クルクルクルクル白光の渦を描いてめぐる。
これがほんとの朧夜というのだろう。
微風はぬるく耳をなでるが、耳を驚かす音とてはない。空も森も伽藍も池も山門も、ありとあらゆる象のものが、シットリとした水気をふくんで、錫の細粉でも舞っているように光る、ほのかな春月がどこかしらにある。
その明りもきわめて鈍く、目をみはればみはるほど、白毫の光が睫毛をさえぎるので、ここはどこかしら? と思い惑っているとかすかに一点の御灯がみえる。
アア、江戸で有名な、浅草の観音堂だな。
道理で、五重の塔がある、淡島堂がある。弁天山の鐘楼がある。
オヤ、誰かきたらしい。
小さい娘の跫音だ。
なんという可愛らしい小娘だろう。一人かと思ったら、また同い年ぐらいな少女が後からくる。何しに今ごろ通るのだろう?