Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
その眼が、以前から怨みつらみの数をならべて、男にものをいうような時、啓之助の気持も妙に荒んできて、食いちがっている二人の心と心とが、行く所まで、いがみあわなければ止まないのが常であった。
今も、かれはお米の眼色から、深い反抗が自分に燃えてくるのを感じて、
「身を売ってきた女ではない? フーン、だから、どうしろというのだ」と青ざめて、殊さらに冷たくいった。いう下からお米もまた、
「帰して下さいというんです!」と肩に波を打った。
「どこへ?」
「大阪の家へ」
「虫のいいことを――だれが!」
「か、かえして、くれないとおっしゃるんですか」
「知れたこッた」
「よ、ようございます――、あなたがお暇をくれないなら、私は私の勝手に大阪へ行きますから。立慶河岸のお母さんが、危篤だという早打がきているのに、帰らずにはおられませんからね……」
「嘘をいえ、そんな、見え透いた偽りをいっても、この啓之助が手放すものか」
「嘘ではございません、宅助に聞いてごらんなさいまし、たしかに、家から手紙が来ているのですから」
「くどい! 何といおうが、わしが大阪へ行くときには連れても行くが、そち一人でまいることはならぬ」