Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
で、お前は、いずれ寮へ帰った上に、何かの支度もあろうから、その間に、宅助をやって、四国屋の荷船の都合を問い合わせてみい。それから、最前渡した船切手、あれを落さぬようにな、よいか、また大阪へまいっても、御当家のことや要らざることを他言してはならぬぞ。宅助、そちにも何かの注意を頼んでおくぞ」
もう二里ほどは歩いたろうと思われる頃である――三人のゆく後ろから、大地に馬蹄をひびかせて、まっしぐらに駒を飛ばしてきた若者がある。
驚いて、両方へ道を開いたとたんに、土を飛ばして、鞭をくれ、疾風一陣に駈けぬけた馬上の人――パパパパッ――と十数間走り越したところで、急に手綱をしぼり止めたかと思うと、
「オオ、啓之助、啓之助!」
ふりかえって、家来のように呼んだものだ。
「――早くまいれよ、徳島城へ! 女の足をいたわっていると間にあわんぞ! 江戸へ上った天堂一角より、何やら大事な知らせがまいって、また一会議あろうと申すぞ。身にも急いで帰城せよと、阿波殿からのお招きじゃ。早くこい! 早くこい! 天下の風雲急ならんとする秋、女のひとりぐらいは捨てて行ってもよいではないか」
そこで、ピシリッとまた一鞭、悍馬をあおッた竹屋三位は、菜種の花を蹴ちらして、もうもうと皮肉な砂煙を啓之助に残して行った。