Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
「オオ」
「法月弦之丞がツイ鼻の先に来ているぞ」
「えっ……弦之丞が」
この一句は一斗の酔ざめの水をのむより二人の目を冴えさせてしまった。
「――今おれが何の気もなく上ノ湯へ行ったところが、そこに一人の虚無僧がいる。湯気にさえぎられて先ではこっちの姿を見なかったらしいが、おれの眼にはしかと分った、まちがいなく法月弦之丞、ちょうど温泉につかっている頃だから、そこを襲ってやろうと思うがどうだ」
「よしッ。いい所を見つけてきた」
一角が鐺を突いて立つと、旅川周馬、
「だが、待ちたまえ」と、沈着を装って、
「江戸表で探った所から推すと、その弦之丞は、もうとくに、垂井の国分寺に着いて、道者船の出る日を待ちあわせている筈だ。それが、いまだにこの辺にいるというのは腑に落ちないように思うが……」
「腑に落ちても落ちないでも、この孫兵衛が見届けてきた事実をどうする」
「しかし、疑心暗鬼ということもあるから」
「疑心暗鬼?」
「常に弦之丞のことを念頭にえがいているため、その錯覚で、縁なき虚無僧までが、それらしく見える場合もない限りではない」
「ちぇッ、また周馬が小理窟をならべだした。時刻を移して、かれに先手を打たれては大変だ。