Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate

Aozora Bunko

「さ、急いで、今のうちに道をはかどっておしまいなせえ。なに、礼なんかにゃ及ばねえ、御縁があったらまた会いましょう」

無理に別れて二人の駕を先に立たせ、お綱と自分とは後からブラブラ歩きだした。

そして中川原の立場までくると、さっきのゴマの蠅が、道しるべの石へ自分の笠をかぶせ、あたりの草の上へ荷物や帯を解きちらして、何か紛失物でもしたように、蚤取り眼でバタバタと着物をはたいては考えている姿が見かけられた。

万吉は思わずプッと吹き出して、口を抑えて横向きに通りすぎた。お綱も横目で見たことは見て行ったが、なんの表情も現わさなかった。人を助けるためにしても、よしまたそれがどういう理由でも、掏られた者のうろたえざまをみるのは、かれの懺悔心が人知れぬ痛みを感じる。

美濃へ入って垂井の国分寺へもやがて近くなった。日いち日とはかどる旅の春も深くなってゆく。

国分寺につけば、そこで法月弦之丞に会えようと思うことを張合いにして、お綱と万吉は、その日、夕照をみながら少し無理な道のりをかけ、もちの木坂の登りにかかった。

「男でさえも足の筋が針金のように突っ張ってきたくらいだから、お綱さん、お前はさぞくたびれたことだろう」