Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
身なりはよくないが、二人ともに上品な人柄であった。
「失礼ながらおひもじくはございませんか。」と、女は訊いた。
朝からのたたかいで勘次郎は腹がすいているので、その言うがままに飯を食わせてもらうことになった。
「ここの家に男はいないのか。」と、勘次郎は膳に向いながら訊いた。
「はい。娘と二人ぎりでございます。」と、女はつつましやかに答えた。その眼の下に小さい痣のあるのを、勘次郎は初めて見た。
「なんの商売をしている。」
「ひと仕事などを致しております。」
飯を食うと、朝からの疲れが出て、勘次郎は思わずうとうとと眠ってしまった。やがて眼がさめると、日はもう暮れ切って、池の蛙が騒々しく鳴いていた。
「もうよい時分だ。そろそろ出掛けよう。」
起きて身支度をすると、いつの間に用意してくれたのか、蓑笠のほかに新しい草鞋までも取揃えてあった。腰弁当の握り飯もこしらえてあった。勘次郎はその親切をよろこんで懐ろから一枚の小判を出した。
「これは少しだが、世話になった礼だ。受取ってくれ」
「いえ、そんな御心配では恐れ入ります。」と、女はかたく辞退した。「いろいろ失礼なことを申上げるようでございますが、旦那さまはこれから御遠方へいらっしゃるのですから、一枚の小判でもお大切でございます。