Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

わし

鷲

岡本 綺堂

Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

三

家のうしろに筧があると教えられて、叔父は顔を洗いに出た。ゆうべの声は表の方角にきこえたらしいので、すすきのあいだから伸びあがると、狭い山道のむこうは深い谷で、その谷を隔てた山々はまだ消えやらない靄のうちに隠されていた。教えられた通りに裏手へまわって、顔を洗って戻って来ると、僧は寝道具のたぐいを片付けて、炉のそばに客の座を設けて置いてくれた。叔父はけさも橡の実を食って湯を飲んだ。

「いろいろ御厄介になりました。」

「この通りの始末で、なんにもお構い申しませぬ。ゆうべはよく眠られましたか。」と、僧は炉の火を焚き添えながら訊いた。

「疲れ切っておりましたので、枕に頭をつけたが最後、朝までなんにも知らずに寝入ってしまいました。」と、叔父は何げなく笑いながら答えた。

「それはよろしゅうござりました。」と、僧も何げなく笑っていた。

そのあいだにも叔父は絶えず注意していたが、怪しい笑い声などはどこからも聞えなかった。

三

一宿の礼をあつく述べて叔父は草鞋の緒をむすぶと、僧はすすきを掻きわけて、道のあるところまで送って来た。そのころには夜もすっかり明け放れていたので、叔父は再び注意してあたりを見まわすと、道の一方につづいている谷は、きのうの夕方に見たよりも更に大きく深かった。