Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
品川がよいのそそり節もきこえなかった。
三人は海岸に立って暗い海をながめた。文次郎も確かには憶えていないが、大方ここらであったろうと、提灯をかざして教えると、お妻はひざまずくように身をかがめて、両手をあわせた。かれは海にむかって何事をか祈っているらしかった。お峰も文次郎も目を放さずに、その行動を油断なく窺っていると、お妻は暫くのあいだ身動きもしなかった。寒い夜風が三人の鬢を吹いて通った。
闇をゆるがす海の音は、凄まじいようにどうどうと響いて、足もとの石垣にくだけて散る浪のしぶきは夜目にもほの白くみえた。その浪を見つめるように、お妻は頭をあげたかと思うと、たちまちに小声で叫んだ。
「あれ、そこに……。」
文次郎は思わず提灯をさし付けた。お峰も覗いた。灯のひかりと潮のひかりとに薄あかるい浪の上に、白いような物が漂っているのを見つけて、二人はぎょっとした。それがかの経帷子であるらしく思われたからである。お峰は言い知れない恐怖を感じて、無言で文次郎の袖をひくと、彼もその正体を見届けようとして、幾たびか提灯を振り照らしたが、白い物の影はもう浮かび出さなかった。