Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
彼が指さす方角には、白馬が跳り狂っているような吹雪の渦が見えた。その渦の中心かと思うところに更に、いつそう白い影がぼんやりと浮いていて、それは女の影であるらしく見えたので、堀部君もぎょっとした。ピストルを固く握りしめながら、息を殺して窺っていると、女のような白い影は吹雪に揉まれて右へ左へただよいながら、門内の空地をさまよっているのであった。雪煙りかと思って堀部君は眼を据えてきっと見つめていたが、それが煙りかまぼろしか、その正体をたしかめることが出来なかった。しかし、それが人間でないことだけは確かであるので、馬賊の懸念はまず消え失せて、堀部君もピストルを握った拳がすこしゆるむと、家のなかから又もや影のように迷い出たものがあった。
その影は二人のあいだをするりと摺りぬけて、李太郎のあけた扉の隙間から表へふらふらと出ていった。
「あ、姑娘。」と、李太郎が小声でまた叫んだ。
「ここの家の娘か。」
あまりの怖ろしさに李太郎はもう口がきけないらしかった。しかしそれが家の娘であるらしいことは容易に想像されたので、堀部君はピストルを持ったままで雪のなかへ追って出ると、娘の白い影は吹雪の渦に呑まれて忽ち見えなくなった。