Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
こうして落合って、話し合っていると、お松に溜息の出るのも無理はなかった。お豊はもう涙ぐんでいた。そうして、あたりを見まわしながら小声でこんなことを言い出した。
「今も久助さんの仰しゃる通り、旦那さまのお腕前では万に一つもお仕損じはないこととは存じますが……。それでも何かのはずみで、もしもの事でもございましたら、旦那さまは……。」
言いかけて、お豊は声を立てて泣き出した。娘のお島の手紙によると、もしその尾白に出逢って仕損じるようなことがあれば、旦那さまはふだんの御気性として、あるいは御切腹でもなさるかも知れないというのである。御新造さまの前で、まさかにそれを言い出すわけにもいかなかったが、その不安が胸を衝いて来て、お豊はとうとう泣き出したのである。お豊に泣かれてはお松の眼もうるんだ。お蝶もすすり泣きを始めた。
切腹――その不安は言わず語らずのあいだに、すべての人の魂をおびやかしているのである。そのなかで、唯ひとり冷やかに構えているのは久助で、彼は気の弱い女たちを歯がゆそうに眺めながら、しずかに煙草をのんでいたが、もう堪まらなくなったように笑い出した。