Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わし

鷲

岡本 綺堂

Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

わたくしは再び悲鳴をあげました。

「浅井さん。助けてください。」

これで夢が醒めると、わたくしの枕はぬれる程に冷汗をかいていました。やはり例のうなぎの一件がわたくしの頭の奥に根強くきざみ付けられていて、今度の縁談を聞くと同時にこんな悪夢がわたくしをおびやかしたものと察せられます。それを思うと、浅井さんと結婚することが何だか不安のようにも感じられて来たので、わたくしは夜のあけるまで碌々眠らずに、いろいろのことを考えていました。

しかし夜が明けて、青々とした朝の空を仰ぎますと、ゆうべの不安はぬぐったように消えてしまいました。鰻のことなどを気にしているから、そんな忌な夢をみたので、ほかに子細も理屈もある筈がないと、私はさっぱり思い直して、努めて元気のいい顔をして両親の前に出ました。こう申せば、たいてい御推量になるでしょう。わたくしの縁談はそれからすべるように順調に進行したのでございます。

唯ひとつの故障は、平生から病身の母がその秋から再び病床につきましたのと、わたくしが今年は十九の厄年――その頃はまだそんなことをいう習慣が去りませんでしたので、かたがた来年の春まで延期ということになりまして、その翌年の四月の末にいよいよ結婚式を挙げることになりました。