Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate

Aozora Bunko

やがて数年が経過して、元弘元年七月となった。

比叡山の裏山の谷川で、三人の女が泳いでいた。

琵琶湖へ流れ込む谷川で、左右は樹木と岩組であり、遙かの上流には布を垂れたような滝が、白く巾広くかかっていた。

女たちの泳いでいるその辺りは、岩組が開らけ水がたたなわり、広い渕をなしていたが、蒼空を一片だけ切り取って来て、さながらそこへはめ込んだかのように、水は凄いまでに紺碧であった。

で、鵠の鳥を想わせるような、純白で艶のある女の裸身は、その色に染められて己自身、紺碧になるかと疑がわれさえした。

それは飛天夜叉桂子の身内の、幽霊女と鶏娘と、そうして、妹の浮藻であった。

三人の女は泳ぎながら、対岸の一所を絶えず眺めた。

そこには洞窟があるのであった。

それは、この世がまだ未開で、人間が穴居をしていた頃に、そういう人間が住んでいた洞窟で、その洞窟以外にも、この辺には同じような洞窟が、いくつか存在しているのであった。

が、洞窟は杉や、柏や、櫨や、野茨に蔽われて、その口を示してはいなかった。

滝や谷川にはつき物のような、岩燕は空に舞っているし、鶺鴒は岩の上を飛んでいるし、五位鷺は岸の蘆の中に、片足でいかめしく立っていて、カラリと晴れた今日の風景は、美しく清らかで幸福そうであった。