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Classici giapponesi con furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate

Aozora Bunko

釜からは湯気が立ちのぼり、岩の天井にぶつかって、滴となって落ちて来た。

釜の中でグラグラ煮えているものは、その犬や狐の臓器であった。

釜のかなた、この部屋の奥から、四筋の燈明が射して来ていた。

その光と炉の焔とに、朦朧と照らされて見えているものは、畳み上げられた岩の上に、白木で造られた戒壇であった。

御幣、七五三縄、真榊の類が、そこでも焚かれているごまの煙りや、炉から吹き出している墨のような煙りや、湯気などに捲かれて見え隠れしている。

壇上に坐りこちらへ背を向けた、鬼火の姥の行衣姿が、物の怪のように見えていた。

読経の声と鈴の音とが、絶えずそこから聞こえて来た。

釜の側に二人の男がいた。

二人ながら姥の眷族で、二人ながら屠者であった。

手に持っている薄刃の庖丁は、獣の血と膏とでネチネチしていた。

腕も胸も顔までも、獣の血で赤黒く穢れていた。

二人ながらクタクタに疲労れていた。

煙りと火気と臭気と殺戮とで、疲労しきっているのであった。

どうしても贄釜が鳴らないという、その恐怖と責任とですっかり心を怯えさせていた。

恐怖と当惑と疲労との眼を、二人は時々洞窟の隅へ、助けを乞うように投げることがあった。