Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
「変だねえ」
と桂子はいぶかしそうに云った。
「叡山の裏山へあらわれた時にも、側へ来ずに辞儀ばかりしていたが、でも大変なつかしそうにして、恐縮なんかしなかったものだよ。……それにしてもあの時もそうだったが、今度もあんな方へ指をさして、わたしをどこかへつれて行こうとする。……いいよ、どこへでも行ってやろう。……右衛門や、行ってみようじゃアないか」
「馬鹿な人間などに比べましたら、比較にもならない利口な卯ノ丸、それにお姫様には忠実な卯ノ丸、あのようにお誘いするからには、わけがなくてはなりませぬ。参りました方がよろしいようで……」
そう右衛門は真面目に云った。
「では卯ノ丸や、一緒に行こうねえ」
桂子は足を進めた。
卯ノ丸はいかにも嬉しそうに、十数間の先へ立って、松林の方へ刎ねて行った。
桂子たちは松林の中へはいった。
さっきまで人声がしていたのに、行ってみれば人はいなかった。
でも林の外れにあたり、六人ばかりの人影が見えた。
五人は野武士らしい男であったが、一人はみすぼらしい乞食であった。
朝の陽が午後の陽に変わった頃、桂子と右衛門とは深い谷の底に、茫然として立っていた。