Classici giapponesi con furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate
里へ下るとかいう山師たちはまだモゾモゾしている。すぐ密林のひた上りだ。ところどころ凍りついた新雪を踏み、私は先きに立ってひとり木の間を辿って行くと、静寂が重厚に、一種の圧力をもって身をつつむ。とある小沢に、聞きつけた水をすすり、凍った岩根に腰をおろして休む。あたりは唐檜、姫子松、栂、樅、白檜の類が繁り、倒木は両岸から栗鼠の渡る橋をかけ、小沢はそのまま氷の階段になって、その下を水は音を忍ばせて流れ落ちる。硝子の瓶のような氷のふくらみの裏を、水泡が徐かに動くのが見える、それが逝く水のけはいなのだ。木の間からは千挺木つづきの山腹が、びっしり木々を押し並べて、じっと静まり返っている。大気がしんしんと結晶するのではないかと思うけはい。身動きもせず、この寂莫境にひたり込んでいるうち、なんということもなく(死生何事ぞ……)といった風な一種の感懐が、胸の底にわき起るのを覚えた。
つずら折りを重ねて、木が瘠せたな……と思う頃、ふと幅広い底強い音が、どこからともなく耳を打ってくる。やがて見あげる木の間が透けて、真青な空が思いのほか間近く、尾根の頂きからのぞいてくる。