Classici giapponesi con furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate
幸い大した怪我もなかったのはめでたいが、大切な米をこぼして、槍を越す頃は二食にも足らぬ粥腹だった。
その中でまたも新しい高山蝶に恵まれた。二十八日の午すぎ長い薬師の背稜も絶頂に近く、左手は大カール、西側は草の乏しい破片岩の緩斜面だ。そこに小さな蝶が、飛びかうと見れば、日盛りの岩の上に、岩と似た褐色の翅を展げる。これも日本産に思いあたるものがない。私はまた帽子を脱いで向った。だが今度の相手は眼が早く、敏捷で、翅も強い。ツマキ蝶とは、容姿も動作も対照的だ。第一、なかなかそばへ寄せつけぬ。極めて徐々に接近しても、いざという瞬間、パッと飛び立ってしまう。だが落胆するのは早い、やがてまた、ほぼ同じ場所に戻ってくるから。これは蝶に見る習性なので、初めは※(「虫+夾」、第3水準1-91-54)蝶かとも思ったが。それを利用して、伏せ損じては、また戻るのを待ってねらう。それをくり返したが、私も焦りと根負け気味で、今日は薬師を越えて水のある泊り場を探さねばならず、こんなことをしていたら日が暮れてしまう。高みの見物にも倦きた一行が動くけはい。止むを得ぬ、切札を用いるか。