Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate

Aozora Bunko

氷雪もいつとは知れず割れ落ちて、山谷をどよめかす。しかも耳に聞える声ばかりではない。どだい、山そのものが、その生成上の性質として、古い迸発岩に新火山岩が割り込み、接触炸裂したためであろうか、それに断層や水蝕、氷蝕まで烈しく働いて、なんとなく錯落紛糾の相を呈し、力の均斉が安泰を欠き、八分に破れて僅か二分につながっている風な、重心の落ち方が多岐で、支点が宙に迷っている形の、一種動揺、紛乱を暗示する、騒々しさの感じを持っているようだ。鉱山などは――こうした処に鉱床があり、鉱山がある――その隙間にもぐりこんで、何か猿の人真似らしく、調子を合わせているに過ぎぬ……そこに偶然ならぬ何かがあろう。

この火薬の音と共に、そこに点もす燈火が、さきに大蓮華でのある晴れた晩、劔の山裾から黒部の大谷を渡って、遙かにその波動を伝えてきたことがあった。自然の寛大にして忠実なる、驚くべきだ。その音は尻切れとんぼで、その燈火は思いの外大きかったものの、甚だ生気に乏しい赤色に見えたが。

私たちの泊ったささやかな空き小屋は、両雪渓の会合する処に臨む山裾にあって、薪は豊かに、水も近間に清冽な岩清水が落ちるし、風は山の高塀にさえぎられて当らず、地盤がアゾ(岩塊の堆積した処をさす山人語)だから、雨水は侵さず、風味のいい蕗は雪解のあとに生い伸びて